「何度言っても伝わらない」「部下がどこか他人事のように動いている」
経営者が抱えるこうしたストレスの正体は、スキルの問題ではなく「依頼のパッケージ」の欠如にあります。
部下が自発的に、かつ気持ちよく動くためには、単なる作業指示を超えた「納得感」が必要です。今回は、数多くの組織経営を支援してきた視点から、部下の心を動かし、自走する組織を作るための**「依頼の3点セット」**について解説します。
1. 「部下への依頼」の本質と市場のリアル
経営層と現場の間に横たわる最大の壁は、**「情報の解像度の差」**です。
- 理想: 意図を汲み取り、自ら工夫して期待以上の成果を出してくれる。
- 現実: 言われたことだけをこなし、状況が変わると立ち止まってしまう。
多くの現場で、「やり方(How)」だけの指示が横行しています。しかし、指示される側にとって「目的」や「理由」が見えない作業は苦行でしかありません。これからの時代、経営者に求められるのは、作業を割り振る力ではなく、仕事に価値を宿らせる力です。
2. なぜ「3点セットの依頼」が組織に不可欠なのか
部下が気持ちよく動くためには、脳が「これはやる価値がある」と判断する材料が必要です。それが、**「やり方」「意味付け」「正当性」**の3つです。
- 自律性の向上: 「意味」を理解していれば、細かな指示がなくても部下は自分で判断し、微調整が可能になります。
- 心理的ストレスの軽減: 「なぜ自分が?」という疑問が解消されることで、反発心や迷いが消え、作業に集中できるようになります。
- 信頼関係の構築: 丁寧に「正当性」を語る姿勢は、部下に対する敬意として伝わり、強固なエンゲージメントを生みます。
3. 専門家が教える「失敗するパターン」と「成功の鍵」
失敗するパターン:手法(How)のみの連呼
「とりあえず、この資料を明日までにまとめて」という指示には、部下の心が入り込む余地がありません。これでは部下は「交換可能なパーツ」として扱われていると感じ、徐々に思考を停止させてしまいます。
成功の鍵:納得感を生む「黄金の3点セット」
依頼を一つの「ギフト」として届けるために、以下の3要素を必ずセットにします。
- やり方(How): 期待するゴールと、最低限守るべきルール。
- 意味付け(Why): その仕事が、チームや顧客にどのようなポジティブな影響を与えるのか。
- 正当性(Justice): 「なぜ他の誰でもなく、君に頼みたいのか」「なぜ今、この仕事が必要なのか」という根拠。
4. 具体的な実行ステップ:今日から変える3つの手順
部下へ依頼する際、言葉を発する前に以下のステップで思考を整理してください。
- 「指名した理由」を言語化する(正当性):「君の観察眼を信頼しているからこそ、この調査をお願いしたい」と、相手の強みに触れる。
- 「仕事の先」を見せる(意味付け):「この資料が、次の大きなプロジェクトの羅針盤になる」と、その先の価値を伝える。
- 「進め方」を握る(やり方):「まずは骨子ができたら見せてほしい」と、迷わないためのマイルストーンを提示する。
経営とは、突き詰めれば「人を通じて事を成す」ことです。経営者がどれほど優れたビジョンを持っていても、現場に火がつかなければ形になりません。「やり方・意味付け・正当性」を丁寧に伝えることは、単なるテクニックではなく、社員一人ひとりの尊厳を大切にする経営姿勢そのものです。
河合真悟税理士事務所は、事務的な手続きをするだけではありません。
- 経営者の想いを言語化し、組織に浸透させるための壁打ち相手
- 現場が納得感を持って動けるような、透明性の高い評価・管理体制の構築支援
- 経営者が思いが伝わる会社のミッション・ビジョン・バリューの再定義
「組織に活気がない」「右腕となる人材が育たない」……
その悩み、実は伝え方ひとつで解決できるかもしれません。経営の停滞を打ち破り、次なる成長ステージへ進みたい方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

