「書類がないと青色申告が取り消される」って本当? 関連会社間取引の新しいルール

「グループ会社との取引で、書類を保存していないと青色申告が取り消されるらしい」——そんな噂を聞いて、不安になっている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これは令和8年度の税制改正で新しくできたルールのお話です。少し専門的な内容ですが、関連会社をお持ちの方には関係の深いテーマですので、できるだけかみ砕いてご説明します。

どんな会社が対象になるのか

このルールが関係してくるのは、親会社などの「関連者」と取引をしている子会社(内国法人)です。対象になる取引は、特許権などの権利の譲渡や貸付け、業務の受託(役務提供)といったものです。

令和8年4月1日以降に始まる事業年度から、こうした関連者間の取引について、契約書や領収書に取引金額の内訳などがきちんと書かれていない場合には、その内訳を明らかにする「特定事項記載書類」という書類を、別途用意して保存しておく必要が出てきました。

なぜ「取消事由」という言葉が出てくるのか

ここで気になるのが、「この書類を保存していないと、青色申告の承認が取り消される事由に該当する」と法律に定められている点です。青色申告が取り消されると、最大65万円の青色申告特別控除が使えなくなるなど、経営への影響が小さくありません。「うっかり書類を用意し忘れていたら、いきなり大変なことになるのでは」と心配になるのも無理はないでしょう。

実際の運用は「いきなり取消」ではない見込み

ただ、ここは少し安心していただける情報があります。税務調査でこの書類の保存が確認できなかった場合でも、その場で即座に青色申告が取り消されるという運用にはならない見通しだそうです。

まずは一定の期間内に、書類を作成または取得して提示するよう求められる、という対応が基本になると考えられています。違反の程度が軽い場合には、取消しではなく指導にとどめられることも想定されているとのことです。

とはいえ、備えは早めが安心

とはいえ、法令上は「保存していないこと自体」が取消事由に該当するというルールは変わりません。税務調査のときに慌てて用意すればよい、というものでもなく、取引を行った事業年度の確定申告期限までに書類を整え、そこから7年間保存しておくことが求められています。

親会社側が取引の内訳をまとめて管理しているケースでは、必要なときにすぐ入手・提示できる状態にしておくことで、子会社側で保存しているとみなされる取り扱いもあるようです。グループ内でどちらが書類を管理するか、あらかじめ整理しておくと安心です。

よくある質問(Q&A)

Q1. うちは親会社と取引していますが、この特例の対象になりますか? A. 対象になるのは、親会社などの「関連者」との間で、特許権などの権利の譲渡・貸付けや、業務の受託(役務提供)を行っている子会社(内国法人)です。取引の種類や関係性によって判断が変わりますので、心当たりのある方は一度取引内容を確認しておくと安心です。

Q2. 書類が何も残っていないことに、税務調査で初めて気づいたらどうなりますか? A. その場ですぐに青色申告が取り消されるわけではなく、まずは一定の期間内に書類を作成・取得して提示するよう求められる、という対応が基本になると考えられています。ただし、法令上は保存がないこと自体が取消事由に該当するため、日頃からの備えが大切です。

Q3. 何から手をつければよいですか? A. まずは、親会社・子会社間でどんな取引があるかを洗い出し、契約書や請求書に取引金額の内訳がきちんと記載されているかを確認しましょう。記載が不十分な場合は、内訳を明らかにする書類を今のうちに整えておくことをおすすめします。

まとめ

関連会社との取引がある場合は、取引のたびに「金額の内訳が分かる書類」を残しておく習慣をつけることが、いちばんの備えになります。「うちは対象になるのか分からない」「今のグループ内取引の書類で足りているか不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。取引の実態に合わせて、無理のない書類の整え方を一緒に考えていきます。


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河合真悟税理士事務所・タスカル株式会社